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【奈良・東大寺二月堂の秘仏】生身の十一面観音??「なまみ」じゃなくて「しょうじん」って言うんだって

奈良の有名なお寺、東大寺二月堂について調べていて、どうにもよく解らないことがあります。

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夕方、夕陽に染まる二月堂

【目次】

 

東大寺二月堂の修二会(お水取り)とは?

二月堂は奈良の東大寺(巨大な大仏様がいらっしゃるところ)から徒歩数分の場所にあるお寺です。

多くの人がイメージするのは「お水取り」「お松明」だと思いますが、本来は修二会(しゅにえ)といいます。

現在の暦では3月1日から14日までの2週間に渡って行われる法会ですが、昔の暦では2月に行われたために修二会というのだそう。

 

そもそも、この修二会というのは二月堂の本尊である「十一面観音」の前に、私たちが犯してしまっている過ちや罪を懺悔し、清める法会。

この修二会の始まりが『二月堂縁起絵巻』(天文14年・1545年)などに記されています。ウィキペディアが解りやすいので、リンクを張りつつ少し引用させていただきたいと思います。

 

『二月堂縁起絵巻』(天文14年・1545年)等が伝える東大寺の寺伝によると、天平勝宝3年(751年)のこと、実忠(僧)が笠置(現在の京都府南部、笠置町)の龍穴の奥へ入っていくと、そこは都卒天(兜率天)の内院に通じており、そこでは天人らが生身(しょうじん)の十一面観音を中心に悔過(けか)の行法を行っていた。悔過とは読んで字のごとく、自らの過ちを観音に懺悔(さんげ)することである。実忠はこの行法を人間界に持ち帰りたいと願ったが、そのためには生身の十一面観音を祀らねばならないという。下界に戻った実忠は、難波津の海岸から、観音の住するという海のかなたの補陀洛山へ向けて香花を捧げて供養した。すると、その甲斐あってか、100日ほどして生身の十一面観音が海上から来迎した。実忠の感得した観音は銅製7寸の像で、人肌のように温かかったという。

 

東大寺二月堂 - Wikipediaより

◆生身(しょうじん)の十一面観音とは?

私も、このヤフー知恵袋の質問者と同じように、生身(しょうじん)の十一面観音というものがいまいち解らず。

おそらく、「人間として生まれてきた観音様」ということなのですよね?

 

えぇと、つまり、

あの人は観音様のようなお人だなぁ

きっと観音様だよ

うん、生きてる観音様だ!

という流れなのだと思うのです。

 

で、ですよ。

仏師に依頼して制作するのでは、生身(しょうじん)とは言えない感じがしたのかもしれません。

しかし、「あの人は人間の姿をしておられるが、観音様に違いないよね」という人を探して出して、さらに来ていただいて、ずっとそこに居てもらうわけにもいきません

そこで、観音様が住んでいるという海のかなたの補陀洛山にお願いしたのでしょう。その願いが届き、派遣されてきたのが銅製の観音様だった、と。

実忠の感得した観音は銅製7寸の像で、人肌のように温かかったという。

 さっきまで生身(なまみ)であった証拠のような……怖いようなありがたいような……

ちなみに7寸は約21センチメートル。

21センチはかなり小さいですね。私の足のサイズよりも少し小さいです。

人肌のように温かい(と感じられるほど)生命力に溢れていたということなのでしょう。

 

◆ひたむきな信仰心

生身かどうかということよりも、目の前に観音様がいらっしゃるという真剣さと誠実さをもって修二会を行うことに意味がある、ということなのだろうと私は思っています。

 

2月には春分があり、古代においてそれはとても重要な日でした。

なにせ、厳しい冬が終わりあともう少しで春が来る!ということを知らせる日が春分だからです。

春になれば農作物が作れるようになります。あたたかい太陽にあたれば心も肉体も元気になったに違いありません。

そういったとても大事な区切りのときに、「心を入れ替えて、また頑張ろう。十一面観音菩薩様の加護を得られるように、国が健やかに栄えるように……」という法会を行う大切さというのは、なんとなく解るような気がするのです。(もちろん憶測100%です)

そこには、とてつもない真剣さ誠実さ、つまり信仰心があったのではないでしょうか。

 

いあまのところ、そんな理解に落ち着いたのですが、仏教にお詳しい方がいらっしゃいましたら、「そうじゃない、全然ちがう」と教えてくださいますと嬉しく思います。

 

ちなみに、二月堂は京都の清水寺と同じ造り「懸造(がけづくり)」「崖造」という建築です。

回廊が西に面しているので、夕陽が沈むころに行くと素敵な雰囲気に……

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東大寺大仏殿の屋根越しに奈良の街が広がっています。

よく見えませんが、ここから直線距離で4.5kmほどのところに平城宮跡があります。そして見える山は大阪と奈良を隔てる生駒山。その向こうには大阪城があり、さらに向こうに神戸が……もういいですかね。

 

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二月堂の創建についてははっきりしたことは不明なんですが、修二会・第一回は752年らしいので1266年前もこうやって沈む夕陽を見つめていた人がここに立っていたんだなと思うと、なんだかぐっと来るものがあります。

 

◆二月堂の拝観時間と拝観料 

二月堂は24時間拝観できて拝観料は無料です。

この、ウエルカムな感じがおおらかで好きなので、これからも永く大切に大事に拝観させていただきたいなぁ、と思うわたくしめなのでありました。

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大きな香炉を力持ちの鬼が頑張って支えています。

時々、このように働いている鬼を見かけますがどういういきさつなのでしょうか。

鬼=悪というわけではないのだろうなぁ、とは思います。怪力だとか鬼才だとか、そういう「なんかスゴイ」ということを表しますものね。とはいえ、なぜ香炉を持ち上げているのか知りたいものです。

新幹線のない奈良へは高速バスが便利です

 

二月堂|参拝のご案内|華厳宗大本山 東大寺 公式ホームページ